小さな棚下でぶどうが奏でる四季の物語と農園周辺の春夏秋冬をお伝えします。
SPRING
春
春の訪れとともに、冬眠から目覚めたぶどうは地下深くから大量の水を吸い上げ、枝の切り口から“ブリーディング”と呼ばれる透明な雫を滴らせます。たっぷり水分と栄養を吸い上げると、硬い芽はふっくらと膨らみ、産毛に包まれた柔らかな新芽を芽吹かせ、輝くような緑の葉を広げ始めます。
農園周辺では春の野草にはじまり、水仙、桜、花桃と美しい花々の系譜が厳しい冬を耐えた里山を彩ります。
SUMMER
夏
5月の爽やかな風につぼみが揺れ、実りの幕開けを告げます。
6月にぶどうの花が散ると、一房ずつハサミで小さなの粒を間引いて理想の房へと整える“摘粒作業”に追われます。真夏の太陽を浴びて栄養を蓄えたぶどうは、お盆を過ぎる頃、柔らかく色づき始める変身(ヴェレゾン)の時を迎え、天然のワックス(ブルーム)をまといながら、袋の中で完熟の秋へと向かいます。
AUTUMN
秋
晩夏から秋へと季節が移ろい、朝晩の澄んだ空気がぶどうの甘みを深めたら、いよいよ収穫の時を迎えます。ずっしりとしたひと房ひと房に、冬から積み重ねてきた一年の歩み。
手に取るたびに、尽きない喜びがこみ上げます。
農園がもっとも活気あふれ、訪れる方々の笑顔に包まれる、努力が報われる感謝のひとときが始まります。
WINTER
冬
マイナス10度を下回る厳しい冬、ぶどうは葉を落とし、わらを身にまとって静かな休眠の時を過ごします。
深い眠りの中でも、その内側では蓄えた糖分をぎゅっと凝縮させ、凍える寒さから自らを守っています。
この凍てつく冬を耐え抜くからこそ、春には生命力あふれる雫を滴らせ、輝くような新芽を出すことができるのです。冷たい風の中、秋の豊かな実りを願いながら、一枝一枝にハサミを入れ、樹形を整えています。


